2010年07月06日

海外でプレーする日本代表選手に聞いた、大切なこと

今日、海外でプレーする日本人選手と会って話をした。

取材ではなくプライベートだったのと、当人にその話をブログに書いていいかを聞きそびれたので、匿名で話を進めさせていただきます。


海外でプレーして、日本代表に戻ってくると「楽だ」と感じるそうだ。アジアの国を相手に戦う場合、相手はそれほど寄せてこない。だから、楽にプレーできるという。

一方、ヨーロッパの選手と戦うときは、「寄せる」ではなく「奪いに来る」という表現がぴったりくるほど、ガンガン来る。

日々、そのような環境で揉まれているから、自然と体の使い方をおぼえ、フィジカルコンタクトにも強くなる。

それが、日本に戻ってきたときに「楽だ」と感じる理由だ。


私が「日本とヨーロッパのサッカーの違いは何か」とたずねたら「1対1に対する意識」と答えた。

ヨーロッパの場合、攻撃でも守備でも「目の前の相手に勝つ」ことが最優先になるという。

だから、攻撃のときも守備の時も、サポートには行かない。

攻撃の時は「お前が目の前の敵を抜け」

守備の時は「お前が目の前の相手を止めろ」というのが、基本的な考え方になる。

日本の場合、その感覚は薄い。「個の力がないから、組織で突破しよう」と考えるのが「自然」になっている。

マイボールのとき、相手と1対1になったら、他の選手がサポートに走る。そこで数的優位を作って突破するというのが、多くの日本人の考え方だ。

練習や試合のなかで何万回とある1対1の場面で「俺が抜く」「俺が止める」と責任を負って、死にものぐるいでボールに喰らいつくのと、「味方が来るのを待って、数的優位を作ろう」「パスコースを切っておけばいいや」と考えてプレーするのとでは、どちらが上達するだろうか。

極端に書くと、前者がサッカーの強国、後者が多くの日本人の考え方だと思う。


「日本人は個の力が弱い」というのが、常套句になっている。

しかし、今日話した選手は「そんなことはない」と言う。その意見に私も同意である。W杯のとき、本田や長友、松井は個でも十分に通用していた。本田のフィジカルは対戦した国の選手と比べて、なんら見劣りするものではなかった。

そこで考えた。日本の場合、「個の力が弱い」というのがエクスキューズ(言い訳)となり、個を伸ばそうとする意識が少しばかり低いのではないだろうか、と。それは育成年代に限らず、プロも含めた全ての年代において、である。


もちろん、私の知る限り「個を伸ばそう」と指導している方はたくさんいる。しかし、それはあくまで少数派だと思う。


現在の日本は「個の力が弱い」という思い込み(あえてこの表現を使わせていただく)が強すぎて、「個より組織」を重視した指導になってはいないだろうか。まずその考えを改めない限り、強い個はなかなか出てこないと思う。

プレーの一場面を切り取ると、1対1の場面で「こいつを絶対に抜く」「こいつを絶対に止める」と責任を負ってプレーしている選手がどれだけいるだろうか。その意識を強く持つ選手の数が多ければ多いほど、日本のサッカーは強くなる。

そのために大切なのは、指導者が選手に絶えず言い続け、選手に「プレーに対する責任」を負わせる環境を作ることである。

―了―

※その選手がプレーする国を特定しないために「ヨーロッパ」と書きましたが、これは伝統的にサッカーの強い国全般と考えていただければ幸いです。


posted by suzuki at 23:29| 東京 🌁| Comment(2) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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